公衆衛生看護学について
1.学部教育
公衆衛生看護学領域では、学部の皆さんに公衆衛生看護の概念と基本的な公衆衛生看護活動を学んでいただき、卒業後に看護師として勤務されたときにも、地域との連携をスムーズに推進していただけるよう公衆衛生看護活動について学んでいただきます。さらに、保健師課程を選択された皆さんには、地域の健康課題を見いだすための地域診断の手法、家庭訪問に必要な技術、住民への健康教育を効果的に実施するためのスキル、健康危機管理を含めた公衆衛生看護管理など保健師活動で必須とされる知識と技術を学んでいただきます。保健師は、住民の皆様方の健康づくりを担っており、予防に重点をおいた活動をしています。保健師課程の皆さんにはその担い手として、活躍していただけるよう教育に取り組んでいます。
実習記録様式
2.大学院教育
地域で生活する人々の健康は、生活環境要因とLife style の影響を大きく受けています。公衆衛生看護学領域では、このような健康に影響を及ぼす生活環境やlife style を分析し、その成果を実践活動に活かしていくことにより、地域住民の健康を効果的に維持・増進することが可能となります。そこで、公衆衛生看護学領域における大学院教育では、公衆衛生看護および公衆衛生学の概念・諸理論を踏まえ、population-based studyをはじめとする疫学手法ならびに質的分析手法を用いた国際誌や和文の文献を教材として公衆衛生看護に有用な分析手法を修得していただきます。さらに、健康政策策定に必要なエビデンスを提示できるような研究のスキルも身につけていただきます。
また,論文作成のために,各自の具体的な研究テーマの絞りこみや研究方法を検討する基礎的研究能力を修得していただきます。さらに,各自で取り上げた研究テーマにおいて期待される研究成果を実践にいかに応用すべきかを検討します。地域で生活する個人,家族,集団および地域を対象としたさまざまな健康課題に関する国内外の知見をもとに,課題の解決を図るための方策や実践への適用,さらに保健師が担う役割などについて探求します。
院生は、実践で課題としているテーマに取り組み、その研究成果に基づいて健康政策や、保健事業に生かしています。
論文作成の指導方針
公衆衛生看護学領域において各自が興味ある研究テーマを主体的に設定していただきます。オリジナリティのある研究知見を有する論文が作成できるよう指導します。一連の研究プロセスを学びながら,必要に応じて国内の関連学会や国際学会への発表,ならびに学会誌への投稿を通して,公表する能力を修得していただきます。
大学院生がまとめた学術論文
- 父親の虐待的子育てに関連する要因の検討.
- 杉本昌子,他
- 小児保健研究. 74(6):922-929,2015
- 1歳6か月児をもつ父親の育児行動に関係する要因の検討:6つの育児行動に着目して
- 北原綾,他
- 小児保健研究. 74(5):630-637,2015
- 母乳育児と愛着形成に関連する文献的考察
- 中尾由紀美,他
- 大阪市立大学看護学雑誌.11:29-36,2015
- 母親の育児に関する相談事と背景要因-3か月児健康診査のデータ分析から-
- 村井智都子, 他
- 日本公衆衛生看護学会誌. 3(1):1-9,2014
- 妊娠後期の妊婦におけるリラックス音楽聴取の睡眠及びポジティブ感情効果
- 辻理恵,他
- 日本疲労学会誌. 10(2):30-41,2014
- 双子をもつ母親の母性意識に関する研究-双子の母親の肯定的感情と否定的感情の関連要因の検討-
- 三宅優,他
- 小児保健研究. 73(1):43-51,2014
- 医療的ケアを必要とする児と共に学ぶ児童における支援的行動への影響
- 大嶋絹子, 他
- 小児保健研究. 73(1):59-64,2014
- 看護ケア領域における笑いの有効性に関する文献学的考察
- 三宅優,他
- 日本看護科学会誌.31(3)61-67,2011
- 多胎児をもつ母親の不安状態と関連要因についての検討単胎児の母親との比較分析から
- 杉本昌子,他
- 日本公衆衛生雑誌. 55(4):213-220,2008