研究テーマ
1.児童虐待予防に関する基盤研究
近年、わが国では児童虐待に関する事件が多発しており、保健師活動においても、重要な取り組むべき課題となっています。本研究課題では、児童虐待を事前に予防する手がかりを得るための基盤となる研究を推進しています。例えば、母親の虐待認識に関する研究、父親の虐待的子育てに関連する要因の検討、若年妊産婦に関する研究、母乳栄養と育児に関する分析などを実施しています。
母親の虐待認識に関する研究では、虐待認識のある母親は全体の22.6%であり、5人に1人の母親に虐待認識があることが明らかになっています。虐待認識の内容は、各年齢を通じて感情的な言葉が最も多く、続いて叩くなどの行為が挙げられていました。母親の虐待認識は、可愛がりにくい子どもがいること、子どもが2人以上いること、STAIにおける特性不安が高不安であること、母親の体調が悪いもしくは治療中であること、および障がい児をかかえていることと関連が認められました。このような研究を推進することにより、保健師活動で留意しなければならない点を明らかにしていきたいと思っています。これまで掲載された論文の詳細は業績の欄をご参照ください。
児童虐待予防に関する基盤研究の業績
- 乳児の母親と3歳児の母親がもつ母性意識 比較および関連要因の検討
- 小川 優, 横山 美江.
- 日本公衆衛生看護学会誌.6(1):47-56,2017
- Child Maltreatment among singletons and multiple births in Japan: A population-based study.
- Yokoyama Y, Oda T, Nagai N, Sugimoto M, and Mizukami K.
- Twin research and human genetics.18(6):806-811,2015
- 父親の虐待的子育てに関連する要因の検討.
- 杉本 昌子,横山 美江.
- 小児保健研究. 74(6):922-929,2015
- 1歳6か月児をもつ父親の育児行動に関係する要因の検討:6つの育児行動に着目して
- 北原 綾,杉本 昌子,林 知里,横山 美江.
- 小児保健研究. 74(5):630-637,2015
- 10代の母親の育児状況とニーズ
- 林 知里, 横山 美江, 根岸 淨子,大塚 千晴, 池田 優美, 村井 智都子, 山口 理恵子.
- 大阪市立大学看護学雑誌. 11:21-28,2015
- 母親の育児に関する相談事と背景要因-3か月児健康診査のデータ分析から-
- 村井 智都子, 林 知里, 横山 美江.
- 日本公衆衛生看護学会誌. 3(1):1-9,2014
- 母親の喫煙による子どもの出生時および出生後の身体計測値への影響:4か月児健康診査のデータベースの分析から
- 横山 美江, 杉本 昌子.
- 日本看護科学会誌. 34:189-197, DOI:10.5630/jans.34.189,2014
- 妊娠後期の妊婦におけるリラックス音楽聴取の睡眠及びポジティブ感情効果
- 辻 理恵,福田 早苗,横山 美江.
- 日本疲労学会誌. 10(2):30-41,2014
- 双子をもつ母親の母性意識に関する研究-双子の母親の肯定的感情と否定的感情の関連要因の検討-
- 三宅 優,横山 美江.
- 小児保健研究. 73(1):43-51,2014
- Factors Affecting Maternal Uneasiness with Child-rearing Comparative Study of Mothers with First-Born Children and Second-Born or Later Children who recived 3 Month Health Check-up.
- Hayashi C, Yokoyama Y, Murai C.
- Journal of Pregnancy and Child Health. Online:1-5,2014
- 授乳期の栄養方法の現状と母親の育児への思いに関する分析:乳児健康診査のデータベースの分析から
- 横山 美江,村井 ちか子,宮下 茜,辰巳 朋美,藤岡 弘季.
- 日本公衆衛生雑誌. 59(10):771-780,2012
- こども虐待と人権擁護:虐待予防の方略
- 横山 美江.
- 大阪市立大学看護学雑誌.7:94-97,2011
- 乳児から小学生の子どもをもつ母親の虐待認識についての検討
- 横山 美江, 岡崎 綾乃, 杉本 昌子, 小田 照美, 塚本 聡子, 水上 健治, 薗 潤.
- 日本公衆衛生雑誌. 58(1):30-39,2011