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公衆衛生看護学
- Public Health Nursing

基本情報

学域名 公衆衛生看護学
Public Health Nursing
代表者
教授

横山 美江
- Yoshie Yokoyama
連絡先 MAIL:yyokoyama@nurs.osaka-cu.ac.jp
ホームページ http://www.nurs.osaka-cu.ac.jp/chiiki_kango/ link
概要  「地域における保健師の保健活動に関する指針(厚生労働省健康局通知,平成25年4月)」にも示されていますように、公衆衛生看護学領域ではPDCAサイクルに基づいて保健活動を推進することが求められています。そこで、学部教育では、公衆衛生看護学の概念と基本的な公衆衛生看護活動、ならびに保健師に必須とされるスキルを学んでいただきます。さらに、大学院教育では、適切なエビデンスを活用し、PDCAサイクルに基づき保健活動ができるよう、エビデンスの適切な把握方法、活用方法など研究のスキルを身につけていただくための教育に取り組んでいます。
 当研究室における研究については、世界に通じる研究を目指して、世界22か国との国際共同研究も推進しています。また、わが国では児童虐待に関する事件が多発しており、保健師活動においても、重要な取り組むべき課題となっています。そのため、児童虐待を事前に予防する手がかりを得るための基盤となる研究も推進しています。
 その他、様々な研究課題にも取り組んでいます。

教育方針

学部教育

  • 公衆衛生看護学領域では、学部の皆さんに公衆衛生看護学の概念と基本的な公衆衛生看護活動を学んでいただき、卒業後に看護師として勤務されたときにも、地域との連携をスムーズに推進していただけるよう公衆衛生看護活動について学んでいただきます。
  • さらに、保健師課程を選択された学生の皆さんには、地域の健康課題を見いだすための地域診断の手法、家庭訪問に必要な技術、住民への健康教育を効果的に実施するためのスキル、健康危機管理を含めた公衆衛生看護管理など保健師活動で必須とされる知識と技術を学んでいただきます。
  • 保健師は、住民の皆様方の健康づくりを担っており、予防に重点をおいた活動をしています。保健師課程の皆さんにはその担い手として、活躍していただけるよう教育に取り組んでいます。

大学院教育

  • 地域で生活する人々の健康は、生活環境要因とLife styleの影響を大きく受けています。公衆衛生看護学領域では、このような健康に影響を及ぼす生活環境やlife styleを分析し、その成果を実践活動に活かしていくことにより、地域住民の健康を効果的に維持・増進することが可能となります。
  • そこで、公衆衛生看護学領域における大学院教育では、公衆衛生看護学および公衆衛生学の概念・諸理論を踏まえ、population-based studyをはじめとする疫学手法ならびに質的研究手法を用いた国際誌や和文の文献を教材として公衆衛生看護に有用な分析手法を修得していただきます。
  • さらに、健康政策策定に必要なエビデンスを提示できるような研究のスキルも身につけていただきます。

研究指導

  • 基本的には、院生の皆さんの興味のあるテーマに取り組んでいただけるように指導しています。大学院では、自身で学んでいく能力を高めていきますが、そのプロセスを皆さんと一緒に楽しく学んでいただけるように努めています。
  • 本研究室では、修士課程修了生のほとんどが、修士論文を書き上げた後、学会誌に投稿し、掲載されています。研究能力の高い方には、国際誌に論文を投稿するための指導を行います。

研究について

概要

  • 公衆衛生看護学領域では、PDCAサイクルに基づいて保健活動を推進することが求められています。このPDCAサイクル基づいて活動を進めるためには、研究のスキルが必要です。まずは、適切な情報やエビデンスを取得し、それらを読み取る力を身につけ、実践に生かすことが大切です。
  • さらに、まだ明らかにされていない研究テーマに関しては研究を推進し、論文という形にまとめ、学術誌に掲載されることをめざして活動していく必要があります。
  • しかし、研究は、学術誌に掲載されることが最終のゴールではないと思っています。研究と実践の循環が一番重要であり、研究を探求する大学院教育では実践と研究がリンクできるよう指導を行っています。

領域を代表する業績

業績

当研究室の代表的な論文を紹介します。
  • Yokoyama Y., et al: Child Maltreatment Among Singletons and Multiple Births in Japan: A Population-Based Study, Twin research and human genetics.18(6):806-811,2015
    【研究の概要】
     1980年代に実施された研究報告から,双子はこれまで児童虐待のハイリスクグループに位置づけられてきた。しかしながら,双子がハイリスク要因であるということを裏付ける出生人口に基づいた研究は全く見られない。本研究では,出生人口に基づいたデータ分析から,単胎児と多胎児における児童虐待の発生状況を明らかにし,さらにそれらに関連する要因の分析をすることを目的とした。
     2007年4月から2011年3月において,西宮市保健所および保健福祉センターで保健師が支援した児童虐待(疑いを含む)対象児を管理する台帳および1歳6か月児健康診査のデータから個人情報をすべて除外したデータファイルを用いた。1歳6か月児健康診査を受診した児18,247名のうち,単胎児が17,755名(97.30%),双子が486名(2.66%),三つ子が6名(0.03%)であった。これらの対象者のうち,児童虐待を受けたあるいは疑われた児は,単胎児で59名(0.33%),双子が8名(1.65%),三つ子が0名(0.00%)で,双子で有意(P<0.001)に多かった。
     虐待の種別は,単胎児では心理的虐待が39.0%,身体的虐待が39.0%,ネグレクトが44.8%であり,双子では心理的虐待が12.5%,身体的虐待が100.0%であった(複数回答あり)。児童虐待の有無を従属変数とし,多胎児の種別などの関連要因を独立変数としてロジスティック回帰分析を実施した結果,児童虐待は多胎児の種別では関連は認められず,児の神経系異常,出生体重と有意な関連が認められた。

主な研究内容

  • 児童虐待予防に関する基盤研究
概要  近年、わが国では児童虐待に関する事件が多発しており、保健師活動においても、重要な取り組むべき課題となっています。本研究課題では、児童虐待を事前に予防する手がかりを得るための基盤となる研究を推進しています。例えば、母親の虐待認識に関する研究、父親の虐待的子育てに関連する要因の検討、若年妊産婦に関する研究、母乳栄養と育児に関する分析などを実施しています。
 母親の虐待認識に関する研究では、虐待認識のある母親は全体の22.6%であり、5人に1人の母親に虐待認識があることが明らかになりました。虐待認識の内容は、各年齢を通じて感情的な言葉が最も多く、続いて叩くなどの行為が挙げられていました。詳細についてはホームページをご参照ください。このような研究を推進することにより、保健師活動で留意しなければならない点を明らかにしていきたいと思っています。これまで掲載された論文の詳細はホームページをご参照ください。
  • 双生児研究に関する世界最大規模の国際共同研究
概要  2007年から実施しているヘルシンキ大学との国際共同研究は、現在ではヘルシンキ大学のみならず、スゥエーデンのカロリンスカ研究所、イギリスのQueen Mary University of London、オランダのVrije Universityなど世界22か国の世界最大規模の国際双生児研究(CODATwins project)へと急速に発展しています。この双生児研究とは、1卵性双生児と2卵性双生児の特徴を用い、遺伝と環境の分析をする研究手法です。すなわち、1卵性双生児は遺伝的に全く同じであり、2卵性双生児はきょうだい程度の類似度を有します。この特徴を用いて遺伝と環境の影響を解析します。
 CODATwins projectでは、人の体格が遺伝的にどの程度規定されており、かつ環境要因にどのように影響されるのかを出生時の体格から高齢者の体格に至るまで分析しています。これまで掲載された論文の詳細はホームページをご参照ください。
  • 児童虐待予防をめざしたフィンランドとの国際共同研究
概要  近年、わが国では児童虐待に関する事件が多発しており、保健師活動においても、重要な取り組むべき課題となっています。一方、フィンランドでは、児童虐待に関する事件は、ほとんど発生しておらず、日本の母子保健を取り巻く環境とは異なった環境を有しています。
 フィンランドでは、妊娠中から出産後まで切れ目なく手厚い支援がなされるなどの優れた母子保健システム(ネウボラ)が確立しており、日本の母子保健政策、すこやか親子21(第2次計画)のモデルともなっています。現在、フィンランドの母子保健を統括しているフィンランド国立健康福祉研究所と国際共同研究を進めており、児童虐待予防を強化するための手がかりを得るような研究へと発展できるよう研究を推進しています。これまで掲載された論文の詳細はホームページをご参照ください。
  • 保健師活動、保健師教育に関する研究
概要  当研究室では、保健師活動や保健師教育に関する研究も実施しています。例えば、東日本大震災後に全国の保健師がどのように派遣され、どのような活動をしたかという研究や、保健師教育の質を保証する地域看護学実習モデルの構築に関する研究、さらには保健師に求められる実践能力と卒業時の到達度における学生の自己評価に関する研究、保健師の現任教育に関する研究などを実施しています。これまで掲載された論文の詳細はホームページをご参照ください。
  • 高齢者虐待予防に関する基盤研究
概要  近年、世界一の超高齢化社会を突き進む我が国の高齢者世帯は、全世帯の4割強を占めており、かつ高齢者を支える生産年齢人口の減少化で、高齢者介護の支え手は減少の一途をたどっています。こうした超高齢化社会に伴い、養護者による高齢者虐待は、2006年に「高齢者の虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(以下、高齢者虐待防止)」が施行されて以降も増加しています。
 そこで、当研究室では、高齢者虐待とその関連要因を分析し、今後の高齢者保健における健康危機管理の在り方を検討する基礎資料とするための基盤研究を大阪市との共同で実施しています。

主要な著書・論文

  • 横山美江他:よくわかる看護研究の進め方・まとめ方:量的研究のエキスパートをめざして(第2版)
  • グレッグ美鈴,麻原きよみ,横山美江他:よくわかる質的研究の進め方・まとめ方:看護研究のエキスパートをめざして(第2版)
  • Yokoyama Y, et al.: Twin’s birth-order differences in height and body mass index from birth to old age: a pooled study of 26 twin cohorts participated in the CODATwins project. Twin research and human genetics, 19(2), 112-124, 2016
  • Yokoyama Y, Hirano K, Sato M, Abe A, Uebayashi M, Kishi E, Sato M, Kuroda Y, Nakaita I, Fukushima F: Activities and Health Status of Dispatched Public Health Nurses after The Great East Japan Earthquake. Public Health Nursing.17(3):537-544,2014
  • Yokoyama Y, Oda T, Nagai N, Sugimoto M, and Mizukami K.: Child Maltreatment among singletons and multiple births in Japan: A population-based study. Twin research and human genetics.18(6):806-811,2015

スタッフ

教授 横山 美江(都市防災教育研究センター兼任研究員)
講師 畠山 典子(都市防災教育研究センター兼任研究員)
特任助教 村上 奈々美

参考写真