研究テーマ
Activities and Health Status of Dispatched Public Health Nurses after The Great East Japan Earthquake.
- Activities and Health Status of Dispatched Public Health Nurses after The Great East Japan Earthquake.
- Yokoyama Y, Hirano K, Sato M, Abe A, Uebayashi M, Kishi E, Sato M, Kuroda Y, Nakaita I, Fukushima F.
- Public Health Nursing.17(3):537-544,2014
【目的】
本研究は、東日本大震災後に被災3県へ派遣された保健師(以下,派遣保健師)が,携わった保健活動の実態と派遣保健師の派遣期間中および終了後の健康状態を明らかにすることを目的とした。東日本大震災後に被災3県へ県外から派遣された全国の保健師が、携わった保健活動の実態を明らかにすることである。
【研究方法】
調査期間は,2012年12月~2013年1月である。調査対象者は,東日本大震災後に被災地に派遣され活動した派遣保健師である。本調査は,日本全国の自治体計2237カ所に派遣保健師に関する調査を依頼し,計778カ所から調査の承諾が得られ,1640名の派遣保健師から回答を得た(回収率50.8%)。このうち,回答に不備のあった者70名を除く,1570名を分析対象とした。
【結果】
回答者は男性1.9%、女性98.1%であった。派遣保健師の年齢は、平均45.2±9.3歳(mean±SD)であった。保健師としての勤務年数は20年以上30年未満が37.4%と最も多く、30年以上が22.7%、10年以上20年未満が21.8%、10年未満が16.3%であった。派遣保健師の平均派遣期間は8.37±11.03日であった。派遣された県は、3県の中で宮城県が最も多く50.6%、次いで岩手県が31.8%、福島県が16.8%で、0.7%は不明であった。派遣時のチーム体制は、保健師、事務職、医師、運転手等さまざまな職種を含む平均4.2±2.6名のメンバーで派遣されていた。派遣先での1日の平均勤務時間は9.73±2.34時間であった。派遣終了後の保健師の主観的健康感は、派遣開始フェーズと有意(P<0.001)に関連しており、フェーズ3からフェーズ5を基準にすると、フェーズ1からフェーズ2のオッズ比は2.10であった。勤務時間も主観的健康感と有意(P<0.001)に関連しており、8時間以下の勤務を基準にすると、8時間より長い勤務のオッズ比は1.70であった。派遣終了後の気分の落ち込みは派遣開始フェーズと有意(P=0.021)に関連しており、フェーズ3からフェーズ5を基準にすると、フェーズ1からフェーズ2のオッズ比は1.83であった。派遣終了後の睡眠状態の悪化は、派遣開始フェーズと有意(P=0.039)に関連しており、フェーズ3からフェーズ5を基準にすると、フェーズ1からフェーズ2のオッズ比は2.19であった。派遣終了後の強い疲労感は、派遣開始フェーズと有意(P=0.002)に関連しており、フェーズ3からフェーズ5を基準にすると、フェーズ1からフェーズ2のオッズ比は1.98であった。派遣終了後の強い疲労感は勤務時間とも有意(P=0.018)に関連しており、8時間以下の勤務を基準にすると、8時間より長い勤務のオッズ比は1.53であった。
【結論】
本研究結果から、被災地へ派遣された保健師は平均4名のチーム体制で派遣されていた。派遣期間は、平均8日間であった。派遣終了後における派遣保健師の健康状態に最も強い影響を及ぼしていた要因は派遣開始フェーズであり,派遣が開始された時期が発災後早期であるほど,派遣終了後の健康に影響することが明らかとなった。
本研究は,平成24年度厚生労働科学研究費補助金の助成を受けて実施した。